お住まいの地域:奈良県
治療を受けるまでの経緯は?
57歳薬剤師で薬局を経営しています。
頻尿などの症状は無かったが年齢的に一度検査したほうが良いと思って2014.12月、近医内科で血液検査。PSA27の結果に驚いた。Drは前立腺炎かも?抗生物質服用(ペニシリン)翌1月には7まで低下、その後2月、3月と7以下にはならずK泌尿器科受診したところ、触診で癌の可能性指摘され日帰り生検を希望し、市立奈良病院受診。
その結果、生検で癌(GS4+5)がみつかったもののMRI、骨シンチで転移なし。泌尿器科部長から説明では、若いし再発しないように拡大手術をしますとの事だった。説明の中でたまたま奈良医大からT先生が週に1回小線源治療外来を行っていたので小線源の説明もあったが数秒で飛ばされた。ダビンチではなく経験豊富な泌尿器科部長の開腹手術にほぼ傾きかけていました。
次週に返答期限が迫る中、仕事後PCで前立腺フォーラム2014.9月をたまたま拝見して岡本先生に連絡を取りました。夜10時過ぎのメールでしたが翌朝には返事をいただき驚きました。拝見すると、市立奈良病院は奈良医大の系列で小線源の専門医がおられるのでそちらに受診を勧められましたが、その少し下に”小生の小線源治療は少し特徴がある、希望されるなら治療します”と書かれていて即決したのを今でも覚えています。
ただ手術まで1年近く待ってもらわないといけないとの事でPSAの上昇から、ホルモン剤を1本余分に打たないといけない事。本当は打ちたくは無いが仕方がない事など先生が話されて患者本位の治療をこの時ほど感じたことはありませんでした。
PSA:15.1
グリソンスコア:4+4
陽性率:88 %(生検 8本中陽性6本)
T分類:T3aN0M0
診断時年齢:57 歳
触診の結果は?:左葉に硬結
治療後にどう感じましたか
治療予定の方は現在の気持ち
3泊4日の手術、麻酔も痛くは無く(生検の時は肛門から麻酔なしで8本までは辛抱したがそれ以上は出来なかった)当日の頭痛も軽微。思っていた以上に楽でした。放射線の管理区域外に検査以外は出れないだけでした。小線源の手術1か月少し後から始まった外部照射の為月~金毎日22日間通院照射(仕事があるので無理を言って午後2時からにしていただく)の方が大変でしたが当初思っていた切迫尿や尿漏れはなく助かりました。ただ放射線治療による肛門痛は覚えています。
先生はホルモン剤(ゾラデックス)は毒で必要以上には使わないと常々言っておられます。手術までの最初のホルモン剤で顔面ほてり、倦怠感、頭髪、陰部以外の全身脱毛、性欲全くなし、男性の機能不全(その気が起こらない)かつ翌年の2月の受診日少し前にバネ指が起こり先生に言おうと思っていたが岡本先生から言われてびっくりしました。今もバネ指は改善せず毎朝目覚まし時計よりも激痛で目を覚まします。
現在の経過、伝えたいことなど
差し支えなければ、男性機能はどうなりましたか?、教えてください。
2021.8月丸5年経過して、PSA0.054、ここ1年横ばい。血中テストステロン444.19ng/dl、男性ホルモンが上がっているがPSAは低下のままなので転移は考えられず完治との事です。男性機能の事ですがなかなか言いにくい事です。ホルモン剤施行から3年以上全く興味が無く男性としてあきらめないといけない状況でした。体毛は以前ほどではないが髭も濃ゆくなって(髭をそらないといけないので不便です)徐々に戻りつつある状況です。勃起についてはかなり深刻でまだ完全ではないが男性ホルモンの増加とともに性欲が出てきています。必ず戻ると思っています。
現在は仕事柄、前立腺癌患者のサポートできるように色々アドバイスをする毎日です。自分の体についてはたまに切迫尿、夜間トイレ1回など何もない方からすると快適ではありません。また肛門生検のせいか?排尿の度にいきむのが原因か?年齢のせいか?わかりませんが肛門が緩い、脱肛ではないが漏れることもあります。吸水パットを重宝しています。
患者さんへの質問:
もし、時を遡れたとしたら、同じ治療を選びますか?
私は 「はい、この治療を選びます」と答えた。
生駒 向山
生駒 向山さん、インタビューへの回答ありがとうこざいました。もしこの回答内容を変更したい場合は、再度ご記入いただければ、差し替えさせていただきます。
放射線治療に併用するホルモン療法は、有効であるため、一概にホルモン治療は害であるとは言い切れないのですが、その期間は慎重に判断するべきことだと思います。
「肛門が緩い、脱肛ではないが漏れることもあります」とのことですが、他の放射線治療を受けた患者さんから、便ががまんしずらい、押し出されてくる、という話も聞いています。私自身も、「便ががまんしずらい」のですが、私の場合は「じ」があるからかもしれません。お守りとして予備のパンツを常に携えることで解決しています。
先生から聞いた話ではなく私の想像ですが、経直腸生検程度で括約筋にダメージが残るとは考えにくいため、
放射線外照射によって、局所ほどではないにしても、ある程度肛門括約筋にも照射されてしまうため、放射線に強いといわる筋肉でも、ある程度のダメージが残るのではないかと考えています。機会があれば専門の先生に確認してみます。