カテゴリー: トリモダリティ療法 宇治病院
お住まいの地域:滋賀県
治療を受けるまでの経緯は?
○概略(2025/7記載、69歳)
2022年(65歳)の人間ドックでPSAが高値(7.81μg/mL)となり、地元の大学病院で精密検査を受けました。その結果前立腺がんであることに加えPSA値、グリソンスコア(GS)はそれほど高くないにも拘わらず、右坐骨1カ所に転移があるとの診断となりました。
主治医からは転移があるので摘出術や放射線治療はせず、当面ホルモン治療になるとの説明を受けました。他の大学病院でセカンドオピニオン相談を受けましたが、同様の見解でした。
PSA値、GSの結果から転移が見られるのは珍しいことと、1カ所だけでしたので、ホルモン治療のみの選択だけでは諦めきれない気持ちもあり、わずかな希望を胸に岡本先生にメールで相談し、結果として2022年7月から治療を受けることになりました。
2023年2月から小線源とその後の外部放射線治療を受け、2年後の診察で、PSAは低値のままであることなどから転移はしていないとのご判断をいただきました。
○前立腺がん疑いから確定診断、治療方針決定まで
2021/11(65歳) 人間ドックPSA 7.81、2022/2 再検査 PSA 9.41 → 精密検査
確定診断のため、地元の滋賀医科大学を受診しました。
2022/2 滋賀医科大学初診 PSA 9.174
2022/3,4 MRI、骨シンチ;右坐骨1カ所に影(転移疑い)、2022/5 CT
2022/4 生検:グリソンスコア(GS)4+3(10か所中6か所:右2、左4)
転移であればGSはもっと高く(5+5など)、PSAも100位になることが多いそうですので、追加検査を受けることになりました。
2022/5 PET:同様の結果のため転移と判断されました。
骨転移の可能性を指摘された
初診ではPSAは特別高くなく、おそらく転移もなく多分手術でしょうとのことでした。その後、生検、CTなどにより前立腺がんであること、MRI、骨シンチ、PETなどの結果から右坐骨1カ所に影があり、転移しているとの診断を受けました。
当初は転移がなければ摘出手術又は放射線治療から始めるとの説明でしたが、転移が見つかったため摘出手術や放射線治療は出来ず、ホルモン治療になるとの説明を受けました。最近ではホルモン治療後に改善があれば、放射線治療をする考えになってきているとの説明も受けました。
生検ではGSの高い部位に当たってない可能性があるものの、GS、PSA低値での転移は稀なケースだとの見解でした。骨折や強い打撲などで影が映ることもあるそうですが、既往はありません。
転移の画像が1カ所のみでホルモン治療の選択に踏み切ることに諦めきれない気持ちもあり、当時宇治病院で治療を始めていた岡本先生にメールをしたところ、診察予定日の指示と、来院するならホルモン治療せずに来て欲しいとの返事をいただきました。岡本先生によれば、この程度のPSAとGSで骨転移があるというのはかなり理解しがたい状況であること、骨転移がある場合には小線源治療はできないが先生なら局所に外部照射するというような返事も頂きました。
○治療開始から
2022/7に宇治病院で初診となりGSの評価は高い部位で4+5、PSA 9.606、骨転移はequivocal(曖昧な)、すなわち転移かもしれないが、転移でないかもしれないとのことで、ひとまず希望を持って治療をして頂き安堵した次第です。再度のMRI、骨シンチでも影は認められました。
初診時から、CABによるADT治療が始まりました。ゾラデックスLA10.8mgデポ(LH-RHアゴニスト)と、カソデックス錠(ビカルタミド)80mg(前立腺アンドロゲン受容体結合阻害剤)の併用療法です。小線源実施前までのPSA値は、0.677~0.123と経時的に低値となりました。以下は放射線治療についてです。
内部照射(小線源、2023/2)シード11.0MBq×53個。
2泊の入院で、挿入術時と翌朝カテーテルを抜かれるまでは少し我慢の時間でした。
V100=99.63%、D90=143.44Gy(BED=150.7Gy)、UD30=160.14Gy、RV100=0.11cc
外部照射(2023/4~5)
全骨盤照射:1.8Gy×24回(約5週間)=43.2Gy(BED=82.1Gy)
合計BED=150.7+82.1=232.7Gy
私の測定結果からも、最大の効果と有害事象最小化に配慮された内容のように思います。
数値の詳細は日本メジフィックス(株)ウェブサイトが参考になると思います。
「局所再発ゼロを目指した前立腺癌小線源療法とそのテクニック」(岡本先生監修)
https://www.nmp.co.jp/member/brachytherapy/technique/index.html
PSA:9.606μg/mL
グリソンスコア:右底部4+5 左底部4+4
陽性率:60%(生検10本中:陽性6本)
T分類:T3b
MRI検査:右恥/坐骨異常信号:骨折線はっきりせず、骨転移として矛盾もなし
診断時年齢:66歳
触診の結果は?:左葉柔らかな結節あり
治療後にどう感じましたか
治療予定の方は現在の気持ち
○放射線治療終了から現在まで
小線源実施後のPSA値は0.040, 0.019、外部照射実施後は0.010~0.036でした。ゾラデックスLA10.8mgデポは2023/4(小線源後約1年)、カソデックス錠(ビカルタミド)80mgは2023/8で終了となり、その後のPSA値は、0.021~0.193(3カ月毎測定)と低値を維持しています。この間は診察の度に、転移であればいずれ上がるかもしれないし、転移でなければこのままかもしれない、しばらく様子を見ましょうとのお言葉を頂いていました。私も悪いシナリオのことも覚悟し毎回どうかな・・・と思いつつ、診察後のPSAの結果に安堵して帰宅したという感じでした。そして2025/1の診察時(小線源実施2年後)に、「転移であったとすればPSAは10とか20位に上昇しているはずなので、転移ではない」と仰って頂き現在に至っています。
○有害事象など
放射線治療における不快な有害事象は、外部照射期間中の一時的な排便痛くらいで、坐薬の使用もせず自然に収まりました。小線源治療後、排尿障害予防の薬剤(シロドシン錠4mg)を服薬しましたが、何事もなく過ぎていましたので、8か月後には打ち切りました。
ところが、1年半後頃から尿意切迫感や頻尿傾向が出てきましたので、2年後の診察時に服薬を再開しています(シロドシン錠4mg、ベオーバ錠50mg)。気になるのは夜間よりも日中の症状です(急に行きたくなる、回数が多い)。また、同時期から頻度は多くはありませんが、いきんだ時に血尿が少し排出されることもあります。年齢的な面もあるかもしれませんが、晩期有害事象でしょうか。症状に波があるのと、季節的な影響もあるかもしれません。様子を見つつ普通の生活を送っています。
現在の経過、伝えたいことなど
差し支えなければ、男性機能はどうなりましたか?、教えてください。
がんの治療は医療機関の得意な治療方法や実績に応じても異なりますし、個々の患者の状態によっても違いますので、私の場合転移があると診断された段階で、別の治療の可能性を期待し現在の治療を受けることが出来ました。納得できる治療を選択できたと思っています。また、治療後も安定した状態で、転移はなかったような結果ですので、なおさらそう感じています。
最後に治療費についてですが、小線源治療時(2泊)は約7~8万円、外部放射線治療時(24回)で約11~12万円でした。がん保険に入っていましたが、古い時代の保険でしたので、放射線治療は保険対象にはならず、入院分の保険のみ受け取ることが出来ました。外部放射線治療時の病院では、コロナの余波もあって一旦入院すると病棟から出られないとのことでしたので、保険料回収の機会は失いましたが自宅からの通院を選択しました。春の時期に宇治まで通うのは気分転換になったと思います。
がん治療では医療保険のことまで気が回らないかもしれませんが、参考になれば幸いです。
ホルモン治療時不快な有害事象はありませんでしたが、ホルモン治療をやめた後の現在の体調や感情を考えますと、ホルモン治療のない今の状態の方が自然であるように思います。
患者さんへの質問:
もし、時を遡れたとしたら、同じ治療を選びますか?
「はい、この治療を選びます」
滋賀 大津
滋賀 大津さん、インタビューへの回答ありがとうこざいました。もしこの回答内容を変更したい場合は、再度ご記入いただければ、差し替えさせていただきます。
また、あとで私のコメントをここに記入させていただきます。