MBS:治療が受けられない?専門医師いるのに病院が治療認めない理由

MBS 2019/03/21 6.15 Voice

近畿圏で、MBSによって以下の報道がありました、御覧ください。
MBS 2019/03/21放送
治療を望む患者がいて治療ができる専門医師もいるのに病院側が認めない、そんな前代未聞の事態が大学病院で起きています。先月には患者らが病院に治療の継続を求め裁判所に仮処分を申し立てました。病院の中で何が起きているのか。

▶https://web.archive.org/web/20190328103750/https://www.mbs.jp/voice/special/archive/20190321/

公開されたビデオのコメントに対する簡単な補足をいたします。

ただ”患者がないがしろにされている”

どうしてこういうことになったのか、病院の内実はわからないが、
ただ”患者がないがしろにされている”極めて異常な形態です。
井戸弁護士(患者会)

まさに先生のおっしゃる通り、短い言葉ながら核心はそこにあります。

こうなる前に解決の糸口はなかったのか

こうなる前に解決の糸口はなかったのか?
森直也弁護士(コメンテータ)

私たち患者は、この問題に対して早くから行動を開始しています。以下をご覧ください。しかし、大学側からは現在まで、意味のある回答は全く得られていません。
2017年 10月
 本年度末迄の、前立腺小線源治療学講座の期間延長が決まっていないという情報をつかみ、大学側が期間延長の更新を渋っている可能性があることから、患者会では大学に対して弁護士を差し向け講座延長の折衝を開始した。
2017年 11月16日 
 16日以降、岡本医師の診察を受けた患者において、来年1月以降の診察予約ができなくなった。多くの患者は不安を覚え院内の相談窓口に行った。しかし、講座延長が決まっていないから予約は受けられないという返答しか帰ってこなかった。この件に巻きこまれた患者は250人以上。
2017年 12月28日
 患者会が差し向けた弁護士の折衝により講座延長が決定。病院ホームページで発表され、再度予約が可能となったが、延長は2年間という期限がつけられた。
2018年6月
 患者会の再構築(新患者会)、より強く講座延長を働きかけることを決定する
2018年6月20日
 患者会代表幹事より病院へ「患者説明会の要求書」を送るが、まともな回答は得られず。
 一年以上にもわたって、病院に対して働きかけてきたが、まったく誠意が見られないため訴訟を決意
2018年8月01日
 提訴と記者会見  【説明義務違反訴訟】 
2018年11月16日
 治療が受けられない患者による仮処分申し立て

後進を育てるということも、あるべき

岡本先生も後進を育てるということも、していただくことが、命の問題としてはあるべきではあったのではないか、と思うところもある。
森直也弁護士(コメンテータ)

特定の医師が非協力的な態度であったから、などというのは組織の正当性を主張したい場合の常套手段である。岡本医師は滋賀医大に訪れる前立腺癌患者の七割以上の治療を受け持っているのに対して、泌尿器科の全摘による治療は僅か2割程度である。根治性の高い医療を提供することは患者ばかりではなく、大学にとっても利益である。これを考えれば「泌尿器科」が積極的に岡本医師を支えるような協力をすべきである、とも言える。

岡本医師は、優れた小線源治療の研究成果を独占しているのでは?

このような推測をされる方もいるが、大きな間違いである。岡本医師は、前立腺癌密封小線源永久挿入治療研究会で、指導的立場の医師の一人であり、小線源治療を普及するために尽力されている。実際のところ、滋賀医大での小線源治療時に、他の有名な医療機関からの見学や研修をたびたび受け入れている。これによって技量が大きく向上した医療機関も複数あり、他院において後進が育っていると言っていい。技術を他の医療機関に伝えていることは確かである。

学内で後進を育てることができていない?

という指摘があるが、実は小線源治療の技術を伝えるのは容易ではなく、質の高い小線源治療がなかなか普及しない、という問題点の1つがここにある。岡本医師の小線源治療の突出したデータがまとまったのは、ここ2,3年のことであり、その間も治療プロトコルは研究、進化していることを考えれば、学内で後進を育てる時期としては、これからであっても不思議ではない。

小線源治療は、放射線科の医師が治療計画を立て、泌尿器科医師が実際の手術を行うのだが、放射線科の若い医師は後進として育っている。しかし、学内の泌尿器科の医師に後進を育たなかったのは、泌尿器科科長が岡本医師を目の上のタンコブと考えているから。仮に「岡本医師と協調して治療を行いたい」などという姿勢を泌尿器科教授に示せば、ただちに泌尿器科にいられなくなくことくらい誰でもわかっていることであり、学びたい医師がいたとしてもそれを表明したりすることはない。

同じ技術かもしれませんけれど

同じ技術かもしれませんけれど、この先生にやって欲しいって想いもありますよねぇ
(西村キャスター)

「同じ技術」ではありません。「同じ技量ではない」というか未経験であるから問題視しているのである。一度見学をした、一度講習会参加した、を経験として挙げるようでは技量に全く期待できない。たとえ自転車の構造を完全に把握していたとしても、それに乗れるかどうかとは別のことである、というのに似ている。

小線源治療では、治療の助手として少なくとも数十例以上経験してからでないとまともな治療はできないと思われるし、より根治性の高い治療をするためにはさらに研究が必要となる。実際にベテランの小線源治療の医師であっても、研修のために滋賀に足を運ばれている医師が何人もいる、という事実もある。

女性キャスターらしい感想であるが、私達患者に「この先生にやって欲しいって想い」などという気持はあまりない。きちんとした治療ができるのであれば、それを受け入れるし、少なくとも反発などはしません。

滋賀医大病院の主張として、以下であるとしている。
●十分な協力が得られず(してほしかった)
●7月以降も他の医師でも技術的に問題なく実施できる。

岡本医師が協力する気持ちであっても、それを受け入れようとしないのは、先に説明した通り。そもそも前立腺がん治療の主力となっているのは岡本医師であり、それに対して協力すべきは泌尿器科のほうである。

「協力が得られなかったこと」を不満としているのに、「他の医師でも技術的に問題なく実施できる」としているこの泌尿器科の自信はどこから来るものなのだろうか、現時点では、治療内容、担当医ともあかされていない。

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6317923