_新聞報道への大学の見解について(旧版)

私達患者は、本件は治療を受けている患者、および今後治療を受ける予定の患者にとっても大きな問題であると言う共通認識を持ち、患者間で連携して動くことを決め、昨年(2017)秋から弁護士に依頼し、何度も大学及び大学病院に対して本件の説明と謝罪、さらには説明会を開くよう要求してまいりました。

また、それと平行して患者それぞれが大学や病院に対して、ご意見箱の利用やメール、郵送など様々な方法で強い抗議をしてきましたが、それに対する意味のある回答はなされませんでした。(まったく誠意の感じられないテンプレートのような回答があったが)

しかしながら今回の提訴の動きが伝えられると、直ちに附属病院のウエブサイトに「医師提訴にかかる報道に対する報道は患者側の一方的かつ事実に反する意見」であるとする大学からの声明が発表されました。しかも、この問題に対して、まるで今まで何も聞いていないかのような反論をしています。
私達は、昨年秋から非常に多くの声を大学に届けていました。それを実質無視し、説明会の開催要求も無視していながら、「一方的かつ事実に反する意見である」という反論は、患者側にとっても極めて遺憾です。

内容は以下のようなものです。

2018年7月29日の朝日新聞報道への大学の見解

滋賀医科大学泌尿器科学講座|当講座医師に関する新聞報道について
 
「7月29日の朝日新聞に患者らによる本学附属病院の医師提訴にかかる報道がなされました。報道は、患者側の一方的かつ事実に反する意見をそのまま掲載したものであり、極めて遺憾であります。本学附属病院ではこれまで通り適切な情報提供を行うとともに、最適で質の高い医療の提供に努めて参ります。
平成30年7月30日 国立大学法人滋賀医科大学長 塩田浩平」
2018 年 8 月 1 日 滋賀医科大学泌尿器科学講座
滋賀医科大学泌尿器科学講座医師に関する新聞報道について

これを読むと、患者への説明責任に対しては、一人の患者は「准教授にとっての最初の小線源治療」を了承した、それ以外の患者には治療の2 週間前に許諾を得ることになっていたとしています。

この最初の患者さんとご家族には、准教授にとっての最初の小線源治療であることをお話しし、了承を得たことを記録しております。また、その後の患者さんに対しても最終的に治療を行うことやその方法などが決定される治療約 2 週間前にお話をし、承諾を得ることになっておりました。

つまり、一人の患者以外は、「准教授にとっての最初の小線源治療」ということを話していないということがこの文章から明らかです。また文全体が未経験であっても治療に問題はない、ということの言い訳にそのほとんどを費やしており、「優先すべきは患者の利益であるという視点に欠けている」ということがおわかりいただけると思います。

続けてこちらをお読みください:
小線源治療に対して、非常に甘い認識を持つ泌尿器科教授

朝日新聞デジタル:「医師、未経験の治療だと説明せず」 がん患者ら提訴へ

 医療安全の規制が強化される中、今回の訴訟は医師の治療経験を患者が治療法を決める際に必要な情報とし、提供を怠った医師の説明義務違反を問うものだ。

 患者の代理人によると、准教授が計画していたのは、微弱な放射線源を前立腺に入れる「小線源治療」。同病院では泌尿器科講師が2005年に開始。この医師が米国の拠点施設で始められた治療法を発展させた独自の技法を開発し、15年1月に小線源治療に特化した寄付講座の特任教授に就任し、年間約140件行っている。

 泌尿器科教授と准教授は15年春ごろから、特任教授とは別に小線源治療を計画。この治療を希望した患者で紹介状に特任教授や寄付講座の名がない20人余りを特任教授に回さず、小線源治療の経験がない准教授の担当とした。

 小線源治療の習得には指導医の下での研修が必要とされるが、准教授は特任教授から治療に必要な技術などを学ぼうとはしなかったという。特任教授は准教授が治療すれば患者に深刻な不利益を与えると考え、15年11月に学長に治療の中止を求め、准教授の患者は特任教授が担当することになった。
「医師、未経験の治療だと説明せず」 がん患者ら提訴へ:朝日新聞デジタル

 16年秋に准教授の小線源治療を受ける予定だった男性(75)は未経験であるとの説明を受けておらず、16年1月に准教授による小線源治療の中止が決まった後もただちに知らされなかったという。

 滋賀医大は朝日新聞の取材に、「泌尿器科の専門医であれば、経験のある医師の指導の下に行えば問題ない」と文書で回答した。

 病院は昨年12月、寄付講座を19年末で閉鎖することを公表。特任教授の雇用任期も同時に終了する。患者らは今年6月、患者会(会員約300人)を結成。未経験医師による治療計画や寄付講座閉鎖についての説明会開催を学長らに求めているが、大学側は応じていない。(出河雅彦)
「医師、未経験の治療だと説明せず」 がん患者ら提訴へ:朝日新聞デジタル


2018年7月29日の朝日新聞報道

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小線源治療に対して、非常に甘い認識を持つ泌尿器科教授